「知夫里」と書いて「ちぶり」。
島根県・隠岐諸島に浮かぶこの島は、人口わずか600人ほど。
ですが1人ひとりが濃くて優しくてキュートで…とにかく魅力的!
前編の「釣って食べる」編でも、ただ釣りをするだけのはずが、気付けばたくさんの漁師さんと出会い、仲良くなり、お裾分けをいただき、宴会をするという楽しすぎる展開に。
若者のUIターンが増えていると言う話を伺いましたが、その理由は「出会い」にあるのだなと納得しました。
そんな知夫里で出会えるのは「人」だけではありません。
今回の2泊3日の旅のなかでも、人をはじめたくさんの出会いがあったので、後編はそちらをご紹介します。
前編でも書きましたが、知夫里で待っているのはたくさんの「予想外な出会い」。
つまり「決まったサービス」ではありません。
だから知夫里島に訪れても、同じ体験ができる保証はありません。
でも、逆に私が味わえなかった別の体験に出会える可能性はじゅうぶんあります。
もしこの記事を読んで知夫里に訪れようと思ったら、そのときの自然体の知夫里を思い切り楽しんでください!
釣りの帰りに出会ったのは…
それは1日目の釣りの帰り道。
マハタなど高級魚を釣って大満足の私を乗せた船が港へ向かっていると、「前方に何か跳ねてるぞ!」と船長。
何かと思って近づいて行くと…
「イルカの群れだ!!」
出会ったのは軽く100は越えるであろうイルカの大群。
まるで私たちを歓迎してくれるかのように、船のすぐ脇を並走してくれる人懐っこいイルカも。
10分以上イルカたちとのクルージングを楽しみました。
ここまでの大群はレアとのことですが、知夫里島の周りにはたくさんのイルカが棲息していて、何匹かの群れに会うことはよくあるそう。
知夫里を訪れたときはイルカに会いに海へ出るのもオススメです。
そしてさらに出会いが。
港近くになって、島の景観を楽しんでいると…
?
牛?
実は知夫里は、人よりも牛の数が多いと言われる牛の島。
松坂牛をはじめブランド牛で有名な地域に、知夫里で生まれ育った幼牛を送っているそう。
知夫里は島の各地に天然水が湧き出ており、牛たちは自由に動き回りながら美味しい水を飲み、草を食べてストレスフリーに育つのです。
せっかくだから近くで見たい!
ということで、海から山へ上がります。
牛山の先にあったのは…
知夫里は海はもちろん、美しい山々にも恵まれた島。
陸へ上がるとすぐに美しい緑も楽しむことができます。
そして車で数分、山道へ入ると…。
牛!
牛!!
牛!!!
ここは日本?と疑いたくなるほど、牛たちが自由気ままに道路を占拠しています。
道の真ん中でお乳をやる牛の親子も。
車にまったく動じることもなく、5分以上にわたって「んぐんぐ」ミルクを飲み続けました。
この日は霧が出ていたので景色が白んでいますが、晴れるとこんな感じ。ヨーロッパの田舎のような、美しい景色を堪能できます。
そんな牛山をどんどん登って行くと、山頂付近に柵が。
この先は牛が通れないように管理しているそう。
人ひとりがやっと通れる幅の柵を越えると、細い小道が続きます。
5分ほど歩いて、その終着点にあったものは…
巨大な赤い壁!
高さ200mにも及ぶ巨大な赤い岩は、多分に含まれた鉄分が変色した天然もの。
こちらは近年注目を集めるジオパークにも認定。なかでも地形や歴史を特色付ける「ジオサイト」と呼ばれる場所です。
- ジオパークとは
- 「地球・大地(ジオ:Geo)」と「公園(パーク:Park)」とを組み合わせた言葉で、「大地の公園」を意味し、地球(ジオ)を学び、丸ごと楽しむことができる場所のこと。
(日本ジオパークネットワークの説明より抜粋)
人の手では作れない、あるがままの自然の姿は息をのむ美しさ。
赤壁(せきへき)はこうして横から見る以外に、遊覧船で海から見上げることもできるそう。
また夕日が沈む時間には赤壁がより赤みを増し、異世界のような光景を堪能できます。港で出会ったのは…
牛と赤壁を堪能し、海沿いを少しドライブしようと走っていると、港に釣り人たちが。
何が釣れるのかな?と話しかけにいくと、まさかの大歓迎!
釣りたての鯵やカサゴをその場で捌いてくれました。
さらにビールのお裾分けまで!(私は運転していなかったので、ありがたくいただきました。)
聞くと、地元の方ではなく知夫里へ毎年遊びにきている京都からの旅人でした。
50〜60代と思われる10人ほどのグループは、知夫里にハマって10年以上とのこと。
実は翌日から知夫里の一部地域で「島外からの観光客もサザエを獲れる期間」がはじまるらしく、毎年そのタイミングで遊びにきているそう。
“釣りたてプリップリの魚”と“面白い情報”をいただき、御礼を言って港を後にします。
漁師さんとサザエ漁
2日目の夜、仲良くなった漁師さんたちと宴会をしているとき、港で出会ったおじさんたちの話をしました。
そのなかで「観光客もサザエ獲りにチャレンジできる件」に触れると、漁師さんの1人が「興味あるなら一緒に獲る?船出してあげるよ!」と嬉しいお誘い。
本当にこの旅は、面白いように偶然の出会いやチャンスが続きます。
ということで3日目の朝、漁師さんと待ち合わせた港へ。
なんと宴会で一緒になったIターン女子が水着やタオル一式を貸してくれ、海に潜れることに。
ゴーグルなどは漁師さんが私の分まで用意してくださっていました。
漁師さんと、その息子さんたちも一緒になって海へ!
海も山も空も、本当に綺麗。
港を出て5分ほど。
すぐそばの小島付近が、この時期(2018年は7月14日〜8月19日。指定区域など詳細は知夫里島観光協会へ 08514-82272)だけ観光客もサザエ獲りに挑戦できるスポットです。
ゴーグルなどを装着したら、さっそく海へ!
この透明度、伝わりますか?
船からでも海の中が見渡せる、透き通った美しい青色。
潜るとそこには、たくさんの魚たちが待っていました。
そして岩場の隙間に、いるわいるわ、ゴロゴロと立派なサザエ!
素潜り初体験の私でしたが、漁師の息子さんに教えてもらいながら挑戦し…
こんな大きなサザエをGET!
小一時間、海中の景色を堪能しながらサザエを探し、結果。
たくさんのサザエを獲ることができました!
素潜りって楽しい!
乱獲になってはいけないので、みんなで食べきれるくらいでストップし、港へ。
(漁業関係者さんのご理解の元で成り立っているイベントなので、獲り過ぎにはご注意を!)
港から3分ほどにある漁師さん宅の前で、さっそく実食です。
穫りたてのサザエをそのままくり抜き、苦みや砂の入った部分を取り除きます。
そうしたらそのまま、丸ごとパクリ!
これまでお刺身は小さく切られたものしか食べたことがなかったので、これは贅沢!
驚くほどコリッコリの歯ごたえと、その甘みに思わず悶えてしまいます。
さらにつぼ焼きも!
少しだけお醤油を垂らしたサザエが、炭火でじっくり焼かれ、香ばしい香りが漂います。
こちらも殻から取り外し、丸ごとパクリ。
んーーーーー!美味しい!!
弾力を増した身を噛むごとに、旨味の汁が口中に溢れ出します。
永遠に噛んでいたいほど、濃厚な旨味が止まらない…。
獲れたてのサザエは格別です。
と、ここで前日一緒に釣りをした別の漁師さんが遊びに。
なんと巨大なアワビを手に抱えています!
宴会のときに、
漁師さん:「都会ではアワビを薄っぺらく切っちゃうから、あんなんじゃ味がわからないよ。」
私:「知夫里だと薄っぺらくしないんですか?いいな〜、そんなアワビ食べてみたい…!」
と会話したのを覚えていて、わざわざ届けてくれたそう!
さっそくアワビを殻から外し、生のままぶ厚くカット。
これまでに見たアワビ刺しの、3倍くらいありそう!
肝心の味は…
写真を撮り忘れるくらい美味しかったです!
分厚く切られたアワビは、コリコリというかモチモチというか、これまでに味わったことのない食感。
そして、「アワビってこんな味だったんだ!」という発見。
今までに食べたアワビは薄く切られていたため、コリコリとした歯ごたえは感じられても、その旨味をきちんと味わうには量が足りなかったようです。
初めて味わう「本当のアワビ刺し」は驚くほどの甘みと風味。
アワビが食べてきた海藻の旨味まで感じられるほどでした。
こんな素敵な体験をさせてくれた漁師さん、みなさん、本当にありがとうございます!
2泊3日と思えない、濃厚な時間を過ごすことができました。
最後に
いかがでしたか?
今回の知夫里の旅は、予測しない出会いの連続。
人はもちろん、景色や動物、体験まで。
偶然に身を任せて楽しむうちに、たくさんの感動に出会うことができました。
もちろん、きちんとパッケージになった旅は安心だしサービスも行き届いています。
しかし、“出会いを楽しむ偶然の旅”でしか味わえない魅力もたくさんあるはず。
「自分の居場所」や「人の温もり」、「自然へのリスペクト」を感じたい方は、こうした過ごし方にチャレンジするのもオススメです。
きっとこれまでにないたくさんの感動に、出会うことができるはず!
- <その他>
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今回の旅はサービス化されていません。
ツッテ内の「お問い合わせ」からご連絡いただければ、漁師さんにお繋ぎしますので、気になった方はお気軽にご連絡下さい。
予算感は1グループで釣り船代など含めて3万円くらいもらえると助かる…とのことでした。