釣った魚を「お裾分け」すると、“0円で料理”してくれる富士の居酒屋♡


釣りは「釣った魚を食べる」ことこそ醍醐味!

1本釣りの魚はダメージも少なく、新鮮さも相まって本当に美味です♡

そんな美味しさを“釣り人以外”にも味わってほしい!と「お裾分け」制度をつくったのが、富士駅すぐにある居酒屋「大衆酒処イチゴウ」さん。

釣り人が自分で食べきれない分をお店に渡すと、
・釣り人は魚の御礼として自分が食べる分の料理を0円でしてもらえる。
・一般のお客さんは一律290円で釣りたての魚を食べさせて(お裾分けして)もらえる。
という、みんなに嬉しい仕組みになっています。

0円で料理してもらえるのも、お客さんに釣った魚をお裾分けして「ドヤ!」できるのも楽しそう♪ということで、さっそく体験してきました。

富士の初心者に優しい釣り船「第五裕丸」


お邪魔したのは富士駅から車で10分ほど。田子ノ浦の港にある釣り船「第五裕丸(だいごひろまる)」さん。

こちらは竿など専門の道具は全てレンタルOK。竿の使い方から丁寧にレクチャーしてくれる、初心者さんに優しい船です。

ターゲットは初めてでも釣りやすいアジなどの小物から、難度はあがるけれどノドグロなどの高級魚まで。
今回はせっかくなので、ノドグロを狙いに「深海魚釣り」に挑戦です。

海の朝焼けは何度見ても美しい

集合の時間はターゲットによってバラバラ。今回は6:30に港集合でした。

「深海魚釣り」ということで長距離の移動を覚悟していたのですが、出発してわずか10分ほどで船がストップ。
この辺りは陸からすぐにボコンっと深くなっており、これだけの移動でも既に海底まで250mほどの位置にいるそうです。


船を停めたらさっそく船長からレクチャー
深海魚釣りは手で糸を巻くのが大変なので「電動で糸巻きをしてくれるリール」を使うのですが、その使い方なども丁寧に教えてくださいます。

エサとオモリをつけた針を海底まで落としたら、底から1〜3mの間で糸を巻いたり落としたり。これを繰り返して、魚にアピール。
魚がかかると竿先が上下するなど異変が起きるので、それを目安に電動リールを操作して糸を巻き上げます。

背景に富士山!

釣り方がわかったところで、さっそく釣りスタート!

水深250mもあるため、針を海底に落とすだけで数分かかります。
針とオモリが海底につくと勢い良く出ていた糸が一瞬止まるので、それを目安に糸を巻いたり出したりします。

深海魚は釣れないこともある…ということで、ドキドキしていたのですが、糸を垂らしてわずか5分ほど。
竿先がわずかにククックククッと引っ張られる感じ。

電動リールを使って糸を巻き上げてみると、これは…


なんだかヌルリとした魚らしきものが。

船長に聞いたところ、こちらは「どんこ」という魚で、汁物などにすると美味しいそう。
さっそく深海っぽい魚が釣れてテンションが上がります。

続いて2投目。
また海底から1m付近を糸を上下させていると、なんだかググッググッ…と引っ張られるような感触。


魚がかかったかな?と思ったら次の瞬間、竿先がグイーーーーンと海の方へ。

「それは本命かもしれないよ!」と船長に言われ、ドキドキしながら糸を巻き上げます。

5分以上かけて、やっと影が見えてきました。正体は…。


本命のノドグロ!しかも大きい!

名前の通り、喉が黒い

「そのサイズは店で出したら2万円くらいの上物だよ!」と船長もご機嫌。
私もノドグロをどう食べようかと、すでにワクワクです。

しかし釣りはまだ始まったばかり。
ということでその後もエサをつけては針を海の底へ。すると…、


サイズは小さいですが高級魚の白ムツや、

色が異常に赤い

謎のカサゴ(船長も名前がわからないとのこと。)、


ニベというスズキの仲間などを釣り上げました。

深海魚は釣れない日もあると聞いてドキドキでしたが、この日は当たりだったみたい。

深海253mで何かがHIT!

お裾分けにもじゅうぶん過ぎる量が釣れたので、少し早めに港に戻ろうかという話をしていたところ、またまた私の竿がグググーーッと海の方へ引っ張られます。

もしや…と糸を巻き上げてみると、


大きなノドグロ2匹目をGET!

「お嬢ちゃん、本当にもってるね!」と船長もびっくりしていました。


結果、ノドグロをはじめ美味しそうな魚がこんなに♪
大満足で港へ戻りました。

お裾分けできる富士の居酒屋「イチゴウ」

店長さんが笑顔で魚を受け取ってくれた

釣った魚はすぐに食べたい&お裾分けしたい♪ということで、富士駅から徒歩5分にある「大衆酒処イチゴウ」さんへ。

営業は17:00からですが、お店の都合がつけば先に預けて準備しておいてもらえます。(事前に電話で相談するのがオススメ)


近くで時間をつぶして、17:00に一番乗り入店。

好きな具を選べるのが嬉しい

こちらはお通しがおでんで、好きな具を3つ選べます。
おでんをいただいている間に、若い店長さんが鮮やかな手付きで釣った魚の料理を仕上げてくださいます。

“お裾分け”した釣り人たちの写真

店長さんは飲食店&釣具屋で働いていた経歴があるそうで、この仕組みを考えられたのも納得。

ノドグロの炙り刺身


まず一品目はゴーッとバーナーで炙るシーンからスタート。
ノドグロをあえて皮をそのままに、表面を炙って出してくださいました。


炙られた良い香りはするし、皮の表面に脂がじわっと滲み出しているしで、出てきた瞬間からヨダレがとまりません。

1切れ口に運ぶと…


もう「おいひーー!!」と叫ぶしかない絶品さ。
驚くほど脂がジュワジュワで、身が甘いです。
調味料は少しのお塩だけでじゅうぶん。というより、それ以外は付けるのがもったいないほど。

濃厚な旨味と脂で、この一品だけで報われた気持ちになりました。

ノドグロのカマ焼き

炙り刺しだけでじゅうぶん…と本当に思っていたのに、ここで店長から追い打ちが。


「やっぱりここも美味しいですよね。1匹に1個しかないから、釣ってきた人の特権です。」と出してくださったのが、焼きたてのカマ(頭)。

じっくり焼き上げたカマからは、これまた脂と汁が滲み出して見えます。
頭の部分の、ちょっと黒っぽいところやグチュッとした部分て、なんでこんなに濃厚でおいしいのでしょう。

続いて骨部分も出してくれる。ここも美味しい!

さっきまで炙り刺しだけでと思っていたのに、やっぱりカマも捨てられない!と浮気心が芽生えます。

カサゴの唐揚げ


詳細の種類は店長さんもわからず…の謎カサゴは唐揚げになって出てきました。

食べやすいサイズに切った身を薄めの衣で揚げたカサゴは旨味と水分がしっかり詰まっていて、噛む毎にふわふわホクホク

ノドグロのような脂はありませんが、力強い味わいが美味しかったです。

と、ここで常連だというカップルが来店。
店長が「ノドグロ入ったよ!」と連絡していたらしく、私のノドグロ狙いで来てくださったそう。

さっそくノドグロの炙り刺しを注文してくれました。

「今日のノドグロ、実は釣ったの私なんです。」と話しかけてみると、「えっ!すごい!!どの辺で釣ったんですか?」と反応してくれ、そこからいろいろ会話をしました。

撮影にもノリノリで協力してくれた♡

そうこうしているうちに、ノドグロの炙り刺し登場。

食べた瞬間から、「めっちゃ美味しい!」「うまいー!釣ってきてくれて、ありがとうございます!」と嬉しい感想を言ってくれました。

思い切りドヤ!するつもりだったんですが、ドヤ!より嬉しい気持ちが勝ってしまい、「こちらこそ食べてもらえてありがとうございます!美味しいって言ってもらえて嬉しいです。」と、まるで我が子を褒められた親の気分に。

そんな私たちを店長はニコニコ微笑みながら見守っています。
魚を媒介にした新しいコミュニケーション…これは全員がwin-winになる素晴らしい取り組みだと体験して改めて思いました。

ニベの酒蒸し

その後も常連カップルさんと会話を楽しみつつ料理を食べていたら、男性の方が風邪気味とのこと。

香りで美味しいのが伝わる

そこで店長さんが出してくれたのが、こちらの酒蒸し。
ニベは煮込むことで身がホロホロになって消化に良く、しょうがもたっぷり入っているから風邪にオススメとのこと。

私もいただいてみると、ニベの旨味が出汁に混ざって優しいのに濃厚
しょうがが適度に効いていて、味を引き締めてくれます。
お腹から温まる感じがして、これは確かに風邪にも効きそう。

白ムツのお刺身


だいぶお腹が膨れたので、最後に数切れだけ白ムツのお刺身を。

こちらは上品な白身でクセがなく、爽やかな味わい
お醤油をはじめ、塩に柑橘、ポン酢などさまざまな食べ方を楽しめそう♪

お料理一品一品が丁寧でボリュームもあり、大満足のフルコースでした。

しかし、今回の調理代はなんと0円
食べきれなかった魚たちを「お裾分け」としてお店に渡したので、支払いはお通し&ドリンク代のみでした。

釣り人は0円で調理してもらえるし、一般のお客さんは激安で釣りたての魚が食べられる
みんなが幸せになれる取り組みです。

さいごに

今回は富士で「釣った魚をお裾分けすることで、0円で調理してもらう」プランを体験しました。

こちらは単に節約できる・安く食べられることはもちろん、魚を媒介に地域の内外の人が仲良くなれるコミュニケーションツールとしての役割が魅力だと感じます。

自分が釣った魚を注文してくれたら、「それ私が…」と話しかけたくなりますし、自分が注文した魚を釣ってきた人が目の前にいたら、話を聞いてみたくなりますよね。

見知らぬ土地でも地域の人と仲良くなれるキッカケに「魚」!
こんな取り組みが全国各地で増えていくことを願います。

本プランの概要

<お勧めの時期>
年中
<本プランでお世話になったお店>
・釣り船:第五裕丸
・買い取り:大衆酒処イチゴウ
<本プラン全体の予算目安>
・釣り船:約13,000円(レンタル代やエサ代など含む。)
※料金はターゲットによって異なります。深海魚は高額プランです。
※料金などは変更する可能性があるので、予約時に確認してください。
<本プランのスケジュール目安>
※午後スタートのプランもあります。詳細は各店の公式HPをご確認ください。
6:30 港に集合
7:00 出港
7:15 レクチャー&釣りスタート(各自のペースで休憩などしながら)
11:45 釣り終了
12:00 帰港
13:00 イチゴウさんに魚を預ける
(先に預けられるかどうかは直接お店に電話してご相談ください)
いったん休憩
17:00 料理してもらった魚を食べる&お裾分け
<オススメの持ち物>
・100円均一で軍手やガーデニンググローブを買っていくと、魚や針で手を傷つけるのを防げます。親指、人差し指、中指を第一関節くらいまで切り取ると細かい作業がしやすい。更に手にフィットする薄手の手袋を中にすると、ニオイがつくのも防げます。
・100円均一で先の長いペンチなどを買っていくと、魚が針を飲み込んでしまったときなどに外しやすいです。
・★酔い止めは普段酔いにくい人も必ず飲むようにしましょう。アネロンが特にオススメです。
・タオルがあると、魚をつかんだり、汚れを拭いたりするのに便利です。貸してくれる釣り船屋さんもあるので、予約の際に確認するのがオススメです。
・★船の上で食べ物、飲み物の販売はありません。船に乗っている時間を計算し、予め購入していきましょう。
<その他>
・本プランは必ず魚が釣れることを保証するものではありません。自然が相手であることをご承知下さい。