【前編:釣って食べる】「知夫里」って読める?美しすぎる秘境の島は、魚と牛とイルカと愛情に溢れていた


「知夫里」島って知ってますか?
というか、「知夫里」って読めますか?

私がこの島の存在を知ったのは今年の春。
日本全国の島を巡っている知人から教えてもらいました。

初めて名前を聞いたときは、その響きの珍しさに何度か聞き返してしまいました。

正解は「ちぶり」です。

島根県・隠岐諸島のひとつ。
人口は約600人。人口を超すほどに「牛」がいて、人口を遥か上回るほどに「たぬき」がいるそう。

そしてもちろん「魚」もたくさん
初めて聞く「知夫里」の話に好奇心がかき立てられ、さらに気の良い漁師さんが遊漁船の資格を持っていると聞いたとき、ついノリで「行きます!」と言ってしまいました。

こうして訪れることになった秘境の島「知夫里」。
結果から言うと、さいっっっこうの2泊3日でした。

その体験記を前編・後編にわけてお届けするので、ぜひ読んでみてください。

前編は「釣って食べる」編です。

隠岐諸島の秘境、「知夫里島」へ


ゲゲゲの…でおなじみ米子鬼太郎空港。


そこからバスかタクシーで七類港へ移動し、さらにフェリーで約2時間。

船の甲板から

羽田空港から約4時間かけて辿り着くのが、知られざる秘境「知夫里島」。
秘境にしては近場といえるかもしれません。

観光客向けのPRをほとんどしていないので、知る人ぞ知る島…なのですが、実はこの数年、2桁単位で移住者が増えています
特に20代、30代の若者。

Uターンはもちろん、地域おこし協力隊としてIターンで知夫里へ訪れ定着した、もしくは定着しようとしている若者に何人も会いました。

定着する理由は色々あるようですが、私が魅力に感じたのは知夫里島に住む人たちの人懐っこさ

観光でちょっと訪れた私にも、自然体なおもてなしで接してくれる住人のみなさんに、たちまち虜になってしまいました。
これはサービスが整った都心や観光地にはない魅力。

予想外がたくさん詰まった出会いの数々、これこそが地域の本当の魅力だと感動しました。

ここから書いていく体験は「決まったサービス」ではありません
だから知夫里島に訪れても、同じ体験ができる保証はありません。

でも、逆に私が味わえなかった別の体験に出会える可能性はじゅうぶんあります。

もしこの記事を読んで知夫里に訪れようと思ったら、そのときの自然体の知夫里を思い切り楽しんでください!

漁師さんの船で釣りに

知夫里島に着いて、まず体験したのはやっぱり釣り
知人が紹介してくれた漁師さんにさっそく会いに行きました。

もちろん道具は全てレンタル&レクチャーをお願いしているので、用意したのは動きやすい服装くらいです。


港へ到着すると、漁師さん1人で出迎えてくれるはずがなぜか3人。
なんと漁師さんの仲間とその甥っ子が釣りがしたくなったそうで、相乗りすることに。

しょっぱなから予想外の嬉しい出会い

ワイワイ話しながら釣りの準備

漁師さん2人から島の話をしてもらえたり、レクチャーもしてもらえて楽しさ倍増の釣りタイムになりました。

それにしても、これまで釣りは「釣り専門船」ばかりでしたが、「漁師さんの船で釣り」はおもしろい。

何がかというと、漁師さんならではの引き出しの多さとフットワークの軽さです。

「釣り専門船」はターゲットと釣り方が決まっていて、その決まった枠の中でサービスをしてくれます。

でも漁師さんの場合は「とにかく釣らないと仕事にならない」という考えがベースなので、ターゲットも釣り方もどんどん変えていきます

道具もたくさん用意されていて、「今日は○○は釣れないな。よし、あっちに行こう!この道具にしよう!このエサにしよう!」と、とにかく釣れるように色んな方法を提案してくれます。

漁師さんの作戦タイム

漁師さんによっても釣り方が違うようで、Aさんが「この釣り方」と言えば、Bさんが「今日はこっちだよ〜」と作戦会議。

そのやり取りのなかで「おまえ、この間釣れなかっただろ〜!」「いやいや、俺の釣った○○見たやろ。」「それ何年前や!笑」と、漁師さんたちの日常が垣間みれるのが、また楽しい。

漁の話からはじまり、島やご家族、暮らしの話が聞けて穏やかな楽しい時間に。


知夫里の大自然にも囲まれて、最高の癒しを味わうことができました。

そして台風後の厳しい状況にも関わらず、さすがプロの漁師さん。


こんな大きな「マハタ」を釣らせてくださいました!

マハタは料亭などで出される高級魚。お刺身でも煮付けでも、なんでも美味しくいただけます!


他にも漁師さんと一緒にカサゴやヒラメなど、美味しい魚を釣り上げることができました。

大満足で帰港する途中、釣った魚をどうしよう?という会話に。

実は知夫里島には現在、「釣った魚をさばいてくれる」飲食店がありません

悩んでいると、「知り合いのお店で台所を借りよう!そこで漁師仲間に捌いてもらうよ。」というまさかの展開。
他に手段がないので、図々しくお願いすることにしました。

漁師さんと釣りたての魚をいただく


お邪魔したのは知夫里の海が見渡せる、絶景カフェ「セキヘキノカケラ」さん。


どの窓からも、テラスからも、美しい景色を楽しむことができます。

島に住む方々は魚を食べ慣れているので、グランドメニューは肉が中心。

だから、島外からのお客さんをもてなす際には、各自が魚を持ってきてさばいている様子。

この日も私たちのほかに「真鯛」を持ち込んだ方がいて、自分でさばいてお客さんに振る舞っていました。

この「持ち込み」は決まったサービスではないので、OKしてもらえるかはお店の込み具合や間に入ってくれる人しだいのようです。

この日は突然でしたが、何とかOKをいただけてキッチンをお借りできることに。

鱗とりはお庭で

釣りに連れて行ってくれた漁師さんの、また違う漁師仲間が来てくれて、鮮やかな手付きでお刺身をつくってくださいました。


さっそくマハタのお刺身をひと切れ。


うーん!もちコリ!

寝かせた方が美味しいそうですが、当日でも甘みがあってじゅうぶん美味しい♪

一緒に釣りに行った漁師さんや、そのお友達も続々遊びにきてくださり、楽しさも加わって最高の味わいです。

漁師さんたちにも「うんうん、美味しいよ!いいの釣ったね。」と褒めていただいて大満足です♡

漁師仲間からのお裾分け

しばらくすると「お裾分けあげるよ!」と、モリモリのサザエが登場。

7月から解禁になった獲れたてサザエは濃厚な旨味がたまりません!


殻からくるくると身を出して、先からジュルリ…。
臭みがなくて味が濃い!
どんどん手が伸びる美味しさです。

もちろんお酒もすすみます。

ご機嫌な私が「知夫里の海、最高ですね!綺麗だし魚介は豊富だし…。また釣りしたい!」と話していると、まさかの展開。

「明日も釣る?今だとイサキが美味しいんだよ。違うポイントで釣れるよ。」

「え、行きます!」

ということで、2日目の釣りが決定しました。

再度、知夫里の海へ

島はこんな風に成り行きに任せて過ごすのが最高の楽しみ方かもしれません。

サザエを差し入れてくれた漁師さんも参戦!

まさかの2日連続の釣り。しかも、漁師さんがさらに1人増えました。笑

初日以上にワイワイ盛り上がりながら釣りスポットを探します。


そして3人の漁師さんに交代で教えてもらいながら釣り


狙い通りのイサキに、

向かって右側が真鯛。左はイサキ。

真鯛まで釣り上げて大満足!


漁師さんたちもノンビリと船を操りながら、イサキやイナダなど美味しい魚を釣り上げて行きます。

前日からさらに仲良くなった漁師さんたち。

「秋になったらカツオとか、また違う魚が釣れるようになるからおいでよ!」と、嬉しい言葉をかけてくれます。


そして夕方からはまた「セキヘキノカケラ」にお邪魔して、漁師さんたちがストックしていたお魚で宴会!

観光客というよりも、まるで親戚の家に遊びにきたような優しくて濃厚な時間

凝り固まった形式的なサービスじゃないからこその展開に、ワクワクが止まりませんでした。

最後に

一流ホテルや大手旅行プランのような、キチッとしたサービスが溢れる現代。
そうしたサービスに比べたら、この旅は行き届かないところもたくさんあるかもしれません。

しかし、こんなに「自分の居場所」「人の温もり」を感じられる、心を揺さぶられる体験は、 “人との出会いを楽しむ偶然の旅”からしか生まれないと思います。

民泊に注目が集まるいま、こうした「人」に焦点を当てた旅に価値を感じるひとはますます増えていくはず。

そんな旅に興味がある方、ぜひ知夫里に行って味わってみませんか?

後編では釣り以外の魅力をお伝えします!

<注意>
今回の旅はサービス化されていません。
ツッテ内の「お問い合わせ」からご連絡いただければ、漁師さんにお繋ぎしますので、気になった方はお気軽にご連絡下さい。
予算感は1グループで釣り船代など含めて3万円くらいもらえたら…とのことでした。
詳細は直接ご相談下さい。